先日、お知らせした通り、先日の休園日から、昨日にかけて造園業者さんによる草刈作業で、東淡水池の島や、潮入りの池の法面がスッキリしました。

「たくさん刈ってスッキリしたね」「観察しやすくなった」「見ないといけない所が増えました」などの感想をいただいておりますが、念のため、刈った理由などをここでもお伝えいたします。潮入り斜面草刈後_220929_東京港野鳥公園_恩田幸昌_P9290391_trim
【草刈後の潮入りの池の法面(土手)】

ここを刈った理由としては…
・クズ原を利用する鳥が少なかった
 低茎草地の方が鳥が利用するのではないだろうか
・クズ原は代替として他の場所にもある
・満潮時に水鳥が利用できる場が少ない
 そのような場がもう少し必要ではないか
・クズ原の下で実生木が増えてきている
 放置するとゆくゆくは樹林へ遷移する
という考えのもと、今回、法面のほぼ全面を刈り払い、現地で破砕していただきました。
(奥側は、特定外来生物のアレチウリが繁茂していました)

今日は、この法面に、チョウゲンボウ、イソシギ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、モズ、ノビタキ、サギ類が来ていました。
現状だけ見れば、成功のようです。
またすぐに生えてくるので、どこまで維持できるか、すべきかが課題です。

泥湿地も見えるようになったので、近々耕耘をすると、そこを出入りする鳥も見られると思います。
水辺の連続性を考えて、なるべく、障壁になるようなものは除去したいという考えもあります。

なお、この法面は、手前のヨシ原際のクズをもう少し刈り、木に絡んでいるクズも落とす予定です。
ハチ類の巣がありそうで、夏場の作業は躊躇していました。

一方、東淡水池もスッキリしています。東淡水池草刈後_220929_東京港野鳥公園_恩田幸昌_P9290392_trim
東淡水池草刈後_220929_東京港野鳥公園_恩田幸昌_P9290393_trim
【ヨシ刈り後の東淡水池の様子】

ここを刈った理由としては…
・水鳥、特に越冬で来るカモ類のための開放水面を広げること
・ただし、隠れられる場として、ある程度のヨシを残す
(本当は、左側にヨシの群落が4つ残るイメージでした…)
・島の裏側も見えるように観察視野を確保する
・ヨシ群落は、やがて陸地化・樹林化するため、遷移を止める必要がある
・ヨシ原は、代替として淡水池周辺にも残っている
という理由が挙げられます。

今後、レンジャー側で刈り残された場所のトリミングの草刈をしたり、実生木のヤナギなどの間伐・伐根などの整備を行う予定です。
また、雨水頼みの東淡水池では、2017年以降、雨不足で水位が低いことが多く、ガマがほぼ消失し、ヨシが拡大しています。
そのため、できれば、陸地化している所の一部をヨシの伐根、泥上げをし、湿地帯としての環境再整備も試みたいと考えています。

・おまけ・P9280387
【コオイムシ】
昨日、東保護区内の調整池の一部ヨシ刈りをした際、コオイムシを見つけました。

東京都レッドリスト2020年度版(区部):絶滅危惧IB類
環境省レッドリスト2020年度版:準絶滅危惧

これからも野鳥を始めとする生き物の生息・生育環境の保全、皆様の観察視野の確保に努めていきます。
管理作業が観察支障になる時もあるかと思いますが、ご理解のほど、どうぞよろしくお願いいたします。