※グラフに誤りがあったため、修正しました(2023/11/28)

昨日(2023/11/24)の投稿で、「すっかりカモ類の数が減ってしまい、今年も冬鳥のカモが見られない年になりそうです…(略)越冬カモ類が12月~2月を中心に激減する傾向は、ここ数年続いています。」とお伝えしました。

実は、レンジャーは、東淡水池におけるヨシ原の管理が越冬するカモ類などの水鳥に及ぼす効果を把握するための調査を行ってきました。

しかし、2018年頃から越冬カモ類(夏場のオオヨシキリの確認も)が園内全域で減少してきたため、自主的に2020年度から毎月週1回のルートセンサス調査を行ってきました。
(元々、月1回のルートセンサス調査は行っていましたが、精度が高めるため、週1回にしています)

今回は、そのデータから越冬カモ類だけ抽出し、年別・月別で最大個体数の増減をグラフにしてみました。
kamo-keinen

留鳥のカルガモ、偶発的に確認されるオシドリ、シマアジ、トモエガモなどは除外しています。

年によりムラはありますが、やはり、12月~2月に減少している傾向は示されているかと思います。

2019年にバードリサーチさんが「ハジロ類の潜水ガモの減少 」というレポートを出されました。

当公園でも「以前より減った」という声や、「●●(近隣のスポット)も少なかったよ」という声などがありますが、日本全体の傾向のようです。

しかも、このレポートでは、底生生物減少による影響の可能性も書かれていますが、当公園でも2017年頃を境に、底生生物である二枚貝類や、付着生物のフジツボ類、マガキなども著しく減少しています。
そのため、採食対象の減少も一因かもしれません。

ホシハジロ_231110_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_1096_trim
【ホシハジロ】
なお、今年9月頃に1号観察小屋付近に立ち入った際は、水門付近には堆積土が多く、二枚貝類が他より多くいました。
そのため、1号観察小屋や、ネイチャーセンター対岸の水門付近では、ハジロ類のカモが度々潜水して採食をしている様子が見られるのかと推察できます。

しかし、当公園において、減少をしているのは、ハジロ類だけでなく、カモ類全般です。
カモ類全般の減少要因は、色々と可能性が言われています。

・二枚貝類だけでなく、草食性の強いカモたちも食べるものが園内・近隣にない可能性
・オオタカを始めとする捕食圧や、警戒感で逃げている可能性
(しかし、以前は猛禽がいてもカモ類がいたり、他の内陸の公園では現状、猛禽がいてもカモ類がいる所もあると聞きます)
・2017年頃からの雨不足による東淡水池の水位低下で、猛禽から逃れられる水深がなく、利用していない可能性
(しかし、他の池にもいません)

カモ類の群れ_231111_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_1312_trim
【カモ類の群れ】

次にカモ類が潮入りの池などで賑わうのは、繁殖地へ移動が始まる3月ごろになるのでしょうか。

レンジャーとしては、引き続き、個体数を記録する調査を行いつつ、干潟や水辺の保全管理作業を行っていきます。