東京港野鳥公園の(公財)日本野鳥の会レンジャーが、公園で観察した野鳥や自然についてお伝えします!!
◆ 開園日毎日17時30分以降に更新中 ◆

2023年10月

先日、潮入りの池に杭の打設をした日は、レンジャーも潮入りの池で整備作業を行いました。

具体的には、2号観察小屋周辺の草刈、ヨシ刈りを実施しました。
A (1)
2号観察小屋右側 作業前
A (2)
2号観察小屋右側 作業後
PA260437
2号観察小屋左側 作業前
PA260446
2号観察小屋左側 作業後

作業の目的は以下の通りでした。

・拡大するヨシ原の抑制
 Google Earthのタイムラインでも見ることができますが、2016年の頃まで、2号観察小屋の両側はヨシ原でほとんど干潟が出ていませんでした。
2号作業前 (1)
2015年4月 2号観察小屋左側の様子
2号作業前 (2)
2015年4月 2号観察小屋右側の様子
・ヨシ原の放置による陸地化、ヘドロ化の抑制
 進行すると干潟面積の減少、観察窓周辺での異臭、底生生物の生息数・多様度減少、それを捕食するシギ・チドリ類などの利用減少する可能性があります。
・干潟干出面の保持
 シギ・チドリ類を始め、特に水辺の鳥類の採食、休息場の保全に繋がります。
・観察支障の除去
 基本的に全ての観察窓から観察支障がなく、観察ができるようにする必要があります。

結果、2号観察小屋の両側の干潟は観察ができるようになっています。
左側の席からは島全体が見易くなっています。
右側の席からも干潟が観察できます。

一方で、この辺りのヨシ原でもオオジュリンを始め、ホオジロ類の観察がし易い時もありました。
クイナ類が出たこともあります。

それについては、以下の事情があります。

・小屋から見えているヨシ原は、外側だけで、ヨシ原はせめて数年に1度は更新をする必要があると考えています。
・ヨシ原の更新ができていなかった内部は、ヨシがやせ細り、衰退した結果、何も生えていない空間がありました。
PA260439
ヨシ原内部は、やせ細り、枯れ、触って砕けるようなヨシが多かったです
PA260443
ヨシがなくなった空間
分かりにくいですが、陰で黒くなっている所は、陸地化した地面です。
ヨシ原の際でも干潟より10m以上、土が堆積し、陸地化が著しい状況です。
・特に2号観察小屋周辺のヨシ原は、今年もイナゴに捕食され、ほぼ丸坊主になっていました。
PA260439
ほとんどの葉がなく、穂も出ていないヨシ原
・ヨシ原を放置すると葉や土の堆積で陸地化し、実生木も生え、いずれ、ヨシ原や干潟が消失します。
・ホオジロ類、クイナ類が利用、観察できるヨシ原は、他にもあるため、まずは干潟の保持が大切。

そのような観点から、整備作業をしました。
その後、先日の投稿でもご報告した通り、クイナ、ヒクイナもその場所で見られているので、ヨシを部分的に刈った後でもクイナ類が見られて安堵しています。
また、2号観察小屋右側では、毎年、ジョウビタキやモズが観察されています。
草刈後、すぐにジョウビタキが見られるようになりました。
(直前でもご覧になられている方はいらしたかも知れませんが…)
PA280466
2号観察小屋右側はクズに被覆され、枯死したサクラをむき出しにしました。
腐朽が進み、アリ類が入り込んでいる枯死木なので、アリスイの利用に期待したいです。
写真右下に写っている刈草の集積場には、虫やトカゲ類などの隠れ場所になるので、それを狙って、集積場の上にモズがとまるかも知れません。

なお、ここの衰退したヨシ原は、整備が未完です。
そのため、ヨシ原を健全に更新するため、来年3月あたりに2号観察小屋周辺のヨシ原はやや規模を大きく刈り払えないか検討をしています。
大きく刈り払っても5月、6月あたりには、日光を存分に浴びて育ったヨシがたくさん生えていると思います。
整備をする際は、改めて、告知・ご報告をいたします。

追記
いつもこのコーナーは長文になってしまい、申し訳ございません…。
思う所、お伝えしたい所が色々とありまして…ご容赦ください。

本日、レンジャーが確認した野鳥は以下のとおりです。

オシドリ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、カイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、クイナ、ヒクイナ、バン、オオバン、ヒメアマツバメ、タシギ、アオアシシギ、イソシギ、トビ、ノスリ、カワセミ、コゲラ、チョウゲンボウ、モズ、カケス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、ムクドリ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、スズメ、ハクセキレイ、カワラヒワ、ホオジロ、アオジ(45種)

3号観察小屋からはジョウビタキを観察できました。
DSCN8808
【ジョウビタキ】
3号観察小屋から見て、右の林の枝にとまっていました。その後、島の木に移動しましたが、ヒヨドリに追い払われていました。

前浜干潟観察デッキからはイソヒヨドリを観察できました。
DSC_0921
【イソヒヨドリ】
オスとメスが1羽ずついました。磯の隙間で採食をしていたようです。

東淡水池ではノスリが見られました。
DSC_0901
【ノスリ】
今日は、いそしぎ橋と東観察広場の間の階段近くの林にいました。この後も何度かノスリが見られ、ハシブトガラスからモビングを受ける様子も観察できました。

本日、レンジャーが確認した野鳥は以下のとおりです。

ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、カイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、クイナ、ヒクイナ、バン、オオバン、タシギ、アオアシシギ、イソシギ、セグロカモメ、トビ、ノスリ、カワセミ、コゲラ、モズ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、ムクドリ、ジョウビタキ、スズメ、ハクセキレイ、カワラヒワ、アオジ(40種)

2号観察小屋では、クイナが観察できました。DSCN3767
【クイナ】
観察窓の右側のヨシ原を歩いていました。さらに、左側の観察窓からはヒクイナが見られました。

同じく2号観察小屋で、アオジが見られました。DSCN3749
【アオジ】
「チッ」と小さな声がいくつか聞こえたので、何羽かいたようです。

潮入りの池では、水草をぶらさげているヒドリガモが何羽もいました。DSCN3759
【ヒドリガモ】
水中に首を入れて水草を探すヒドリガモは、くちばしや首に水草をつけていることがよくあります。

3号観察小屋からは、今日もカワセミを観察できました。
DSCN8463
【カワセミ】
遠くから見ると、カワセミのおなかのオレンジ色が紅葉した葉によく似ていました。

先日、事前告知のとおり、潮入りの池にて、杭を打設しました。
A (1)
作業前 遠景
A (2)
作業後 遠景
A (2)_trim
作業後 近景(画像拡大)
手前30本、奥10本
PA260441_trim
2号観察小屋前は10本
PA260427_trim
初めにレンジャー側で造園業者さんに「ここに打設をお願いします」とする目印の角材を干潟にさしました。
PA260434_trim
その後、造園業者さんがネイチャーセンター横のミニ生態園の斜面から杭を搬入し、干潟に人力で突き刺し、カケヤ(木製ハンマー)で打設していきました。
半日で終わるという作業の手早さ。感服です。

以前は、300本あった杭ですが、今回はまず50本。
今後、様子を見て、また打設することになると思います。
また、造園業者さんが作業する際、潮位が高いと打設が大変なため、今回は、最干潮時でも10cm程度水位がある所まで打設していただきました。
今後、潮の引きが強い春~夏に実施できるようなら、更に範囲を拡大できると見込んでいます。

そして、打設をする際、以下のことに留意しました。

・ネイチャーセンターに近いと警戒して飛んでしまう(=ストレスになる)ため、ある程度、離す
 杭が遠いと観察・撮影がしにくいのですが、鳥との距離は必要となります。
・ネイチャーセンターから対岸の最奥(今回10本打設した所)は、観察・撮影には遠いですが、カワウやサギ類が止まり、標識個体も度々、観察できていたため、少しは杭が必要。
・2号観察小屋前は、やや正面の方が晴れの日に観察・撮影がしやすい。
 左側に設置すると島の観察支障となり、右側に設置すると午前中は逆光で観察しにくい。
・遠くから観察する際、杭が縦に並ぶととまっている鳥が重なり、観察しにくくなる。

※今回の杭は、白木(防腐剤注入なし)に焼きを入れ、表面を炭化させたものをオーダーしました。

2017年頃から腐朽していた杭が次々と消失しはじめ、新たな打設をするか、しないか、打設をするならどうするのか、以前と同じ工法として重機で打設する場合、どこから重機を入れるのか、など検討をしてきました。
その中で、数年前からレンジャーが試行的に人力で打設をし、潮の干満や強風でも抜けないこと、細くてもカワウやサギ類でもとまることを確認しました。
そして、今回、以前より一回り細い杭ですが、人力で打設をし直せました。
カワウ_231027_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_9425_trim
早速、カワウ、サギ類は使ってくれています。

今後、カワセミ、シギ類、ミサゴなども休息や採食の場として使ってくれること、また、観察される皆様の観察スポットとして役立てることを願っております。
数年経つと杭にフジツボ類、イソギンチャク類などがついて、その付着生物やそこに潜む動物、ひっかかる藻類を食べる野鳥もいるかと思います。

本日、レンジャーが確認した野鳥は以下のとおりです。

ヨシガモ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、シマアジ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、カイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、バン、オオバン、ツツドリ、タシギ、アオアシシギ、イソシギ、ミサゴ、トビ、ノスリ、カワセミ、コゲラ、チョウゲンボウ、モズ、オナガ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、ムクドリ、アカハラ、ツグミ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワラヒワ、ホオジロ、アオジ(48種)

aoasi1028
【アオアシシギ】
アオアシシギは開園直後は東淡水池にいましたが、その後すぐに潮入りの池の島の周辺に移動しました。
オナガガモ_231028_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_9501_trim
【オナガガモ】
同じく潮入りの池ではカモ類が多くなってきています。
ホシハジロ約100羽を筆頭に、ヒドリガモ約40羽、オナガガモ約30羽、ハシビロガモ、マガモ、コガモ、キンクロハジロ、スズガモそれぞれ約20羽。
観察小屋の間近にいるカモ類をじっくり観察できる時もあります。
ジョウビタキ_231028_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_9430_trim
【ジョウビタキ】
ネイチャーセンター前のベンチがある広場では、ジョウビタキのオスとメスが縄張り争いをしていました。
広場でオスが鳴くと、すぐ2号観察小屋の方から飛んできたメスに追われ、オスは逃げていました。
DSC_0823
【ツツドリ】
東淡水池の水門付近ではツツドリが見られました。レンジャーが確認したときには、水門付近にあるアキニレにとまっていました。お客様の写真を拝見すると、スズメガの大きな幼虫を食べている様子も確認できました。
tugumi1028
【ツグミ】
東観察広場前の斜面の草地には、ツグミがいました(今季初認)。見つけたときは姿勢を低くしていましたが、そのうちに胸を張るツグミらしいポーズをしてくれました。
ヨシガモ_231028_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_9539_trim
【ヨシガモ】
3号観察小屋の左手の水辺では、カルガモ5羽に混じって1羽だけヨシガモがいました。

↑このページのトップヘ