東京港野鳥公園の(公財)日本野鳥の会レンジャーが、公園で観察した野鳥や自然についてお伝えします!!
◆ 開園日毎日17時30分以降に更新中 ◆

カテゴリ: 保全管理レポート

以前、東保護区の外周樹林の一角には、ハリエンジュ(別名:ニセアカシア。北アメリカ原産。マメ科)の林がありました。
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【2013年の様子】
背が高く葉がついていない木々がハリエンジュです。
この樹木は、日本では環境省が「生態系被害防止外来種リスト」にて「適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)」の1つとし、「海岸林については、倒伏による危険や、クロマツに悪影響を及ぼさない管理が必要である」と記されています。

当公園では、各所に点在していますが、年々、ハリエンジュ含め、様々な高木が倒れているのが実態です。
例えば、最近、カワウのねぐらで何本も枯死したハリエンジュが倒れていたり、昨年まで3号観察小屋の対岸や左側でもハリエンジュが倒れていました。
3号観察小屋付近で池に倒れたものについては、サギ類やカモ類が休息に使っていましたが、枝葉が生えてきてしまったため、長期的に見て、生長に伴って落ち葉の堆積によるヘドロ化、陸地化も懸念されたため、撤去していました。
カワウのねぐらについては、人的被害や倒木からの再生も見られないことからそのまま鳥の止まり木として残置し、根から萌芽したものは適宜、クロマツ林の保全のために除伐もしています。

一方、東保護区の樹林のハリエンジュ林は、土塁の上に生え、高木化し、ツタが絡み、帆船の帆のように風を受けているものや、外周側の園内での倒木が何本かありました。
残っている高木ハリエンジュは猛禽類やツグミの群れの観察スポットではあったものの、今後、外周道路に倒れる危険性が考えられたため、仕方なく2021年3月に伐採をしました。

しかし、ハリエンジュは生命力が強く、切り株や根から萌芽(新しい芽が出ること)が生じます。
伐採跡地では、その萌芽に加え、アズマネザサ、クズ、センダングサ類など様々な植物が一気に広がりました。
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【萌芽したハリエンジュ】
そのため、レンジャーは、ハリエンジュ林の再生を抑制しながら、造園業者による作業上、やむなく一緒に伐採された在来樹木の萌芽や実生木を残し、育てることで、早めの樹林再生を試みてきました。
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【新たに生えてきたエノキ(=実生木)】
年に数回、選択的刈払いと、在来樹種の萌芽の株を間引く「もやかき」を実施しています。
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地点A 作業前 2023年6月の様子
C (2)
地点A 作業後
D (1)
地点B 作業前
D (2)
地点B 作業後

連日、保全管理レポートを投稿しました。
こうして様々な取り組みを意図して行っていることを皆様にも少しでもお伝えできればと思い、このコーナーを設けてきました。
「え、あれを伐採したの?」「伐るだけでなく、増やしてよ」というご意見・ご要望をお受けすることもありますが、意図した整備(観察・生態系・安全面)であることや、切り株からの萌芽を残したり、実生木を残し、時に移植したり、補植したりする取り組みも行っております。
今後もその時の状況に合わせ、適宜、整備が続くことになりますが、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

2018年頃からは、通常の管理作業の合間に草地やヨシ原、湿地の藪を覆うクズなどのツル植物の除去、湿地再生、草地再生に努めてきました。

例えば、眺望ゾーンも兼ねたネイチャーセンター横のミニ生態園周りは、小さなお子様でも水辺が観察できるように目線にまであったクズ原を除去し、草丈の低い草地(低茎草地)や湿地(休耕田模倣地)への転換を行ってきました

ミニ生態園から東淡水池の眺望も変わりました。
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以前の様子
C (2)
最近の様子

ミニ生態園にある東保護区入り口も景観が変わりました。
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以前の様子
A (2)
最近の様子

保護区内もクズ原を整備して、数年をかけてオギ、ススキの茅場へ転換しました。
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保護区内の管理道周辺の様子

もちろん、クズは在来種で、クズを利用する生き物もいるので、全て無くす考えはありません。
眺望ゾーンとしての視界確保をすべき所や、茅場として再生できる可能性がある所でのみ除去をして、林縁にあるクズによる「マント群落」は保存してあります。
※管理作業をする際は、既存の管理計画に加え、①お客様目線(観察支障の有無など)、②生き物目線、③安全管理を軸としています。

また、都内では減少傾向にあるされ、東京都レッドリスト2020見直し版(区部)で絶滅危惧IA類(CR)のセッカ、絶滅危惧IB類(EN)のホオジロを誘致すべく、多摩川河口域と同様の草地へ転換するという狙いもあります。

その結果が通じているのか、1990年から現在(昨日2024/3/26)までのデータを見ると、以下のようなグラフが出ました。
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セッカの観察日数
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セッカ
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ホオジロの観察日数
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ホオジロ
どちらも似たような傾向が出ていますが、最近になって観察できる日が増えてきています。
※開館日のレンジャーによる確認の有無の集計です。

減っていた期間は、東保護区内のヨシ原を泥湿地と調整池に工事した頃から減少しているようにも見えますし、当時の気象条件(多雨で草地水没?)、管理対象の違い(湿地、水辺優先?)、あるいはクズ原が拡大したためか、などと推測もできます。

いずれにしても、観察日数が増えてきているので、結果としては順調のようです。

なお、草地転換のため、樹林や藪へと遷移が進んでしまったところを一時的に除去することがあります。
例えば、今冬に実施した前浜干潟側の生垣剪定と実生木伐採も、育ちすぎた生垣の下に実生木が増え、それらが日陰を作り、ヨシ原が減ってきていたため、今回、造園業者さんに整備していただきました。
次第に生垣や切り株から徒長枝が伸び、ゆくゆくは、拡大したヨシ原と所々にある灌木の景色になればと考えております。
基本的には、「今年はここ。来年はここ」というように、例えばヨシ原でもゾーニングをしながら、手を入れて、全てを無くすようなことはしないようにしています。

こうした作業、整備で観察のご不便をおかけすることがあるかも知れませんが、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

現在、潮入りの池と前浜干潟の間にあるコアジサシ繁殖誘致のための砂礫地の整備を進めています。

整備と言っても、毎年恒例の除草作業と周辺のヨシ刈りです。
B (1)
地点A 作業前
B (2)
地点A 作業後
A (1)
地点B 作業前
A (2)
地点B 作業後
防草シートを敷いた上で砂利が敷かれていたのですが、年々、土ぼこりが溜まって、そこに草が生え、実生木も生える上、防草シートの下からもヨシ、オギ、ススキ、残っていたハリエンジュが生えてシートを貫き、持ち上げ、それをカラスが引っ張り…という現状があります。

一方で、すぐに何らかの改修ができませんし、整備をせず、草丈の高い草地や、実生木やハリエンジュなどの樹林に遷移してしまうとコアジサシ、過去に繁殖事例のあるコチドリも利用しにくくなります。

コアジサシ自体、昨年はほとんど飛来していませんでしたが、再び多くが飛来しても、利用できる場がなければ利用できないので、今できる整備に努めています。
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アメリカセンダングサというタネが衣類にくっつく「ひっつき虫」で、手袋や衣類の隙間に入ると痛くて厄介な草が主に生えています。
それを抜いて、山にして、抱えるか、クズで作った紐で縛って砂礫地の外に搬出しています。
以前、一時期はその草の量の多さゆえに効率化を目指してトラクターや刈払機も導入しましたが、今回は結局、草抜きが一番きれいで、回収もしやすいということになり、草抜きをメインで作業をしています。
昨秋に前浜側の砂礫地だけ除草が済んでいたので、その分、負担が少ないこともあります。

今後も試行錯誤を繰り返しながら、より効率的な保全整備を目指し、コアジサシ、コチドリの繁殖成功を期待したいものです。
作業をしていることで観察の支障となることもあるかも知れませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

【砂礫地関連の過去の投稿】
・2023年05月11日 コアジサシのデコイを設置しました
・2022年04月28日 コアジサシのデコイを設置しました
・2021年10月16日 砂礫地を整備中です

潮入りの池の1号観察小屋から水門の方を見ると水面にオレンジ色の杭が何本か刺さっています。
既にお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、2023年6月より、とある実験をしております。
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【1号観察小屋から見た水門側に見える杭(右下)】

実験とは、「なぜ潮入りの池に貝類がいないのか」を確認するための検証実験です。

レンジャーは毎年5月、8月に、潮入りの池と前浜干潟にて、定めた調査の側線(6カ所:前浜2カ所、潮入りの池4カ所)・測点(3地点×6カ所)において、干潟にいる底生生物(甲殻類、ゴカイなど)を調べています。
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【調査で泥採取をしている様子】
ところが、2017年~2019年にかけ、急にとある種が減ったり、逆に別の種が増えたり、という大きな変化が起きました。
そして、2020年以降は、干潟の底生生物が激減、という状況になっています。
参考までに、2015年度から今年度までの結果をグラフにしました。
アサリ_経年変化
【アサリの経年変化】
アサリはこの数年で激減していることが分かります。
他の二枚貝は元々個体数が少ないのですが、それぞれ増減の波があり、右肩下がりの傾向が出ています。
シオフキガイ_経年
【シオフキガイの経年変化】
ヒメシラトリ_経年
【ヒメシラトリの経年変化】
ホトトギス_経年
【ホトトギスガイの経年変化】ヤマトシジミ_経年
【ヤマトシジミの経年変化】
当公園は人工潟湖干潟の構造で、水の循環が外洋と比べると悪いのですが、豪雨に際に一時的に淡水化が進んで、アサリが減って、淡水~汽水を好むヤマトシジミが大きく増えているわけでもありません。
ミズヒキゴカイ_経年
【ミズヒキゴカイの経年変化】
汚濁や貧酸素に強く、過酷な環境でも耐えられるタフなゴカイと言われるミズヒキゴカイは、高密度で確認しています。
全く干潟の生物がいないわけでもありません。

この二枚貝激減の現象に連動するかのように、干潟で採食をするシギ・チドリ類、越冬カモ類のうちのハジロ属(スズガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ)も見られなくなってきています。

その状況で、専門家のご協力を得て、以下の仮説のもと、二枚貝を保護し、増やせる道具(網の中に軽石が入っているマット)を使って検証実験をしてきました。

①二枚貝の稚貝が定着しなければ、そもそも周辺から稚貝が発生・供給されていないか
②二枚貝が途中で死ねば、水温上昇、酸欠、低栄養などが問題か
③二枚貝が大きく育てば、アカエイや水鳥(ハジロ属)などの捕食圧が高いか
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【設置しているマット】
昨夏から今冬にかけて設置したので、順調にいけば、アサリなどの二枚貝が数ミリサイズに育っているはず、として、今月半ばに確認しました。

その結果、アサリは7mm程度のものが数匹、他の二枚貝もわずかに確認しましたが、極めて少ない状況です。

一方で、岩場や護岸、杭などに付着するホトトギスガイや、(外来種)コウロエンカワヒバリガイは、浅場に設置したマットには多く付着し、常に水没する場所に設置したマットには個体数が少ない結果が出ました。

このことで、どうやら干潟に潜る二枚貝は「①そもそも供給がない」可能性が出てきました。
死骸(貝殻)も少ないことから、「②水質が原因」ではなさそうという可能性も考えられます。

2019年の大型台風のように大きなイベントが生じると、減少して、回復に時間がかかるとも聞いています。
このマットは継続して設置するので、今後、周辺のポテンシャルが回復すれば、このマットの中でも増えてくる可能性もあります。
また、今、マットの中にいるアサリなどもそのまま保護することで、捕食圧を受けずにここで産卵をすれば、稚貝たちが増えてくることに期待もできます。

まだ継続して観察する必要がありますが、今後の干潟再生・保全対策を進める上での状況把握として、現状の調査結果をここでご報告いたしました。

干潟に打ち込んでいるオレンジ色の杭についても、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

2023年6月1日からアカミミガメとアメリカザリガニは、条件付特定外来生物に指定されました

当公園でも、以前から多数のアカミミガメが日光浴、産卵期や冬眠期の園路移動や園路沿いでの産卵が度々目撃されていました。
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【園路を移動していたアカミミガメ】
特に、園内の生態系への影響が課題となり、以下の確認事例があります。
・カイツブリの浮巣での日光浴によって、浮巣の崩壊、卵の水没
・カイツブリやカルガモのヒナを追いかける
(捕食を目撃した方もいらっしゃいました)
・ヨシ、ガマなどの水辺の植物の新芽を食べる
恐らく、水中で魚類や水生昆虫の捕食もしていると考えられます。
また、苦情も多く寄せられていました。
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【ヨシの株立ちにあったカイツブリの巣を潰したアカミミガメ2匹】

そこで、当公園では環境省の『アカミミガメ防除の手引き』をもとに、2021年から本格的に防除を開始しました。

アナゴ網とも呼ばれる漁具トラップを10基設置し、アメリカザリガニ、同じく特定外来生物のウシガエルも含めた外来種防除を行っていました。
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【アナゴ籠】
※この中にペットボトルも入れて、窒息ししないようにします。

ご参考までに今月までの外来カメ類の捕獲個体数は、以下の通りです。
2021年から合計282個体を捕獲しました。
グラフの横軸は、捕獲した月のみ表示されています。
サイズ別外来カメ捕獲個体数
【サイズ別】
基本的に、産卵で移動をする個体をよく捕獲していましたが、トラップでの継続的な捕獲もできていました。
先月1月は、東淡水池がいよいよ干上がる段階で、カメたちが一斉に水辺から陸に移動を始めたため、捕獲をしたことで個体数が多くなっています。
(池底のぬかるみがきついため、立ち入りができない所です)
エリア別外来カメ捕獲個体数
【エリア別】
しかし、レンジャーが保全管理を主に担っていて、回収しやすく、かつ、カイツブリ等の繁殖が例年確認されている東淡水池・東調整池を中心にアナゴ網を設置していたこともあり、捕獲エリアは東に偏っています。
西エリア(芝生広場より西側)や、いそしぎ橋は全て陸を移動していた個体です。

また、捕獲方法の割合では、トラップを使用しない素手(※)での捕獲が多かったです。
捕獲方法の割合
【捕獲方法の割合】
※咬まれたり、爪で引っ掛かれたりする危険性があるため、軍手などを付ける必要があります。
また、もし園路などで発見した際は、ご自身で捕獲をしようとせず、レンジャーを含む公園職員にお知らせください。

そして、以前から設置を検討していた外来カメ類対策用の日光浴トラップ「アカミミキャッチャー」を新たに制作し、先日2月8日から稼働しました。
時期外れではありますが、今でもアカミミガメが泳いでいたり、日光浴していたりする様子を確認しているので、期待はゼロではありません。
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【西淡水池に設置したトラップ】
まずは、1基だけ制作したため、現状、水深があり、アカミミガメも確認している西淡水池(3号観察小屋前)の島の向こう側に設置・係留しています。
小屋から見えない所にありますが、時々、アオサギなどが乗っている様子(上半身だけ?)が見えるかも知れません。

次年度以降、更に増設し、より捕獲効率を上げたいと考えております。
この取り組みで、園内の生態系への影響が下がり、カイツブリやカルガモなどの繁殖がより上手くいくことや、水辺の植生の回復を期待したいです。
(残念ながら、他の影響・要因も考えられるので、この取り組みだけで劇的な改善は期待しきれません)

観察の支障になることもあるかも知れませんが、ご理解の程、よろしくお願いいたします。

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