東京港野鳥公園の(公財)日本野鳥の会レンジャーが、公園で観察した野鳥や自然についてお伝えします!!
◆ 開園日毎日17時30分以降に更新中 ◆

カテゴリ: 保全管理レポート

東淡水池では、連日の雨不足でついに渇水しています。
(今日、明日の雨でも恐らく、閉める程度か、少し水溜まりができる程度かと思われます)

100%天水頼みの池のため、雨不足による影響は深刻です。
近年、生じるようになった渇水事情は以下の通りです。

2017年・夏 完全渇水
2018年・冬 ほぼ渇水
2019年・夏 ほぼ渇水
2019年・秋 大型台風2回で満水
2022年・冬 やや渇水(東調整池からの完全放水で調整/東調整池はかいぼり実施)
2023年・夏 ほぼ渇水(秋台風で少し回復/東調整池は完全渇水のまま)
2023年・秋 ほぼ渇水(秋の嵐で少し回復/同上)
2024年・冬 完全渇水

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【渇水した東淡水池】
この写真は、奥に見える林が東観察広場で、右側が島、左側にネイチャーセンターがあります。

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【地割れした池底】
表面や少し内側には赤虫がいるので、それをハクセキレイ、イソシギなどは食べているようです。

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【トラクターでの浚渫】
干上がったことを前向きに捉えると、かいぼり・池干しの機会としてヘドロを圧縮、空気に触れさせ、少しでも浚渫(しゅんせつ。泥上げ)をしたいと考えています。

もちろん、そこにいた魚類は死滅したと考えられます。
(今まで、絶滅したかと思えたにも関わらず、モツゴは度々、個体群が復活していました)
今後、西淡水池や小川、田んぼなどにいるドジョウなどを移動させるなど、検討もすることになるかと思います。

一方で、わずかな水溜りに集まっていたミシシッピアカミミガメ(昨年6月から条件付き特定外来生物に指定)が昨日、大移動・上陸を始めたため、急遽、回収をしました。
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【上陸していたミシシッピアカミミガメ】
生態系に影響があるとされるため、環境省のガイドラインに沿った対応をしています。
昨日は33個体を捕獲しました。

水が干上がることでできること、できたことがありますし、水鳥や他の生物が利用できない、時期によっては湿生植物にも影響が出るなどデメリット、ダメージもあります。
雨次第の現状では、ひとまず、できることとして、しばらくは既存のトラクターなどを用いて少しでも浚渫をするなど、保全管理に努めていきます。

作業の際は、観察の支障となるかも知れませんが、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

先日、「データから見るカモ類の個体数変動」というタイトルで、越冬カモ類の厳冬期の減少についてご報告しました。
(グラフに誤りがあったため、修正しています)

今回は、種ごとにグラフを作ってみました。
グラフだけでボリュームが多くなるので、文章は少な目にします。

まずは、毎年一番乗りするコガモ。
kogamo

減少傾向があって注目されるハジロ属として、ホシハジロ。
hoshibajiro

同属のキンクロハジロ。
kinkuro

同属のスズガモ。
何千、何万羽と集まる同じ東京湾奥部の三番瀬や葛西と比べて、確認個体数がはるかに少ないので、それほど注目しなくて良さそうですが…
suzugamo

3号観察小屋前の西淡水池に集まる傾向があるマガモ。
magamo

その他、個体数は少な目ですが、当公園で比較的よく見られる越冬カモ類。
ハシビロガモ。
hashibiro

ヒドリガモ。
hidori

オナガガモ。
onaga

オカヨシガモ。
okayoshi

ヨシガモ。
yoshi

※稀にしか見られないオシドリ、シマアジ、ホオジロガモなどは除外しています。

上のグラフを見ると、種によって増減の傾向が違うようです。
①渡来直後は多いものの、その後は利用が少なくなる種(コガモ、オカヨシガモ、オナガガモ、実はホシハジロも)
②ずっといる種(マガモ)
③厳冬期にいなくなる種(キンクロハジロ)
越冬カモ類全体でグラフを見るだけでなく、やはり、細かく見る必要もありますね。

また、経年変化は、この短い期間だけでは分からない大きな年変動もあるので、引き続き、データ集積をしていきます。

※グラフに誤りがあったため、修正しました(2023/11/28)

昨日(2023/11/24)の投稿で、「すっかりカモ類の数が減ってしまい、今年も冬鳥のカモが見られない年になりそうです…(略)越冬カモ類が12月~2月を中心に激減する傾向は、ここ数年続いています。」とお伝えしました。

実は、レンジャーは、東淡水池におけるヨシ原の管理が越冬するカモ類などの水鳥に及ぼす効果を把握するための調査を行ってきました。

しかし、2018年頃から越冬カモ類(夏場のオオヨシキリの確認も)が園内全域で減少してきたため、自主的に2020年度から毎月週1回のルートセンサス調査を行ってきました。
(元々、月1回のルートセンサス調査は行っていましたが、精度が高めるため、週1回にしています)

今回は、そのデータから越冬カモ類だけ抽出し、年別・月別で最大個体数の増減をグラフにしてみました。
kamo-keinen

留鳥のカルガモ、偶発的に確認されるオシドリ、シマアジ、トモエガモなどは除外しています。

年によりムラはありますが、やはり、12月~2月に減少している傾向は示されているかと思います。

2019年にバードリサーチさんが「ハジロ類の潜水ガモの減少 」というレポートを出されました。

当公園でも「以前より減った」という声や、「●●(近隣のスポット)も少なかったよ」という声などがありますが、日本全体の傾向のようです。

しかも、このレポートでは、底生生物減少による影響の可能性も書かれていますが、当公園でも2017年頃を境に、底生生物である二枚貝類や、付着生物のフジツボ類、マガキなども著しく減少しています。
そのため、採食対象の減少も一因かもしれません。

ホシハジロ_231110_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_1096_trim
【ホシハジロ】
なお、今年9月頃に1号観察小屋付近に立ち入った際は、水門付近には堆積土が多く、二枚貝類が他より多くいました。
そのため、1号観察小屋や、ネイチャーセンター対岸の水門付近では、ハジロ類のカモが度々潜水して採食をしている様子が見られるのかと推察できます。

しかし、当公園において、減少をしているのは、ハジロ類だけでなく、カモ類全般です。
カモ類全般の減少要因は、色々と可能性が言われています。

・二枚貝類だけでなく、草食性の強いカモたちも食べるものが園内・近隣にない可能性
・オオタカを始めとする捕食圧や、警戒感で逃げている可能性
(しかし、以前は猛禽がいてもカモ類がいたり、他の内陸の公園では現状、猛禽がいてもカモ類がいる所もあると聞きます)
・2017年頃からの雨不足による東淡水池の水位低下で、猛禽から逃れられる水深がなく、利用していない可能性
(しかし、他の池にもいません)

カモ類の群れ_231111_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_1312_trim
【カモ類の群れ】

次にカモ類が潮入りの池などで賑わうのは、繁殖地へ移動が始まる3月ごろになるのでしょうか。

レンジャーとしては、引き続き、個体数を記録する調査を行いつつ、干潟や水辺の保全管理作業を行っていきます。

先日、潮入りの池に杭の打設をした日は、レンジャーも潮入りの池で整備作業を行いました。

具体的には、2号観察小屋周辺の草刈、ヨシ刈りを実施しました。
A (1)
2号観察小屋右側 作業前
A (2)
2号観察小屋右側 作業後
PA260437
2号観察小屋左側 作業前
PA260446
2号観察小屋左側 作業後

作業の目的は以下の通りでした。

・拡大するヨシ原の抑制
 Google Earthのタイムラインでも見ることができますが、2016年の頃まで、2号観察小屋の両側はヨシ原でほとんど干潟が出ていませんでした。
2号作業前 (1)
2015年4月 2号観察小屋左側の様子
2号作業前 (2)
2015年4月 2号観察小屋右側の様子
・ヨシ原の放置による陸地化、ヘドロ化の抑制
 進行すると干潟面積の減少、観察窓周辺での異臭、底生生物の生息数・多様度減少、それを捕食するシギ・チドリ類などの利用減少する可能性があります。
・干潟干出面の保持
 シギ・チドリ類を始め、特に水辺の鳥類の採食、休息場の保全に繋がります。
・観察支障の除去
 基本的に全ての観察窓から観察支障がなく、観察ができるようにする必要があります。

結果、2号観察小屋の両側の干潟は観察ができるようになっています。
左側の席からは島全体が見易くなっています。
右側の席からも干潟が観察できます。

一方で、この辺りのヨシ原でもオオジュリンを始め、ホオジロ類の観察がし易い時もありました。
クイナ類が出たこともあります。

それについては、以下の事情があります。

・小屋から見えているヨシ原は、外側だけで、ヨシ原はせめて数年に1度は更新をする必要があると考えています。
・ヨシ原の更新ができていなかった内部は、ヨシがやせ細り、衰退した結果、何も生えていない空間がありました。
PA260439
ヨシ原内部は、やせ細り、枯れ、触って砕けるようなヨシが多かったです
PA260443
ヨシがなくなった空間
分かりにくいですが、陰で黒くなっている所は、陸地化した地面です。
ヨシ原の際でも干潟より10m以上、土が堆積し、陸地化が著しい状況です。
・特に2号観察小屋周辺のヨシ原は、今年もイナゴに捕食され、ほぼ丸坊主になっていました。
PA260439
ほとんどの葉がなく、穂も出ていないヨシ原
・ヨシ原を放置すると葉や土の堆積で陸地化し、実生木も生え、いずれ、ヨシ原や干潟が消失します。
・ホオジロ類、クイナ類が利用、観察できるヨシ原は、他にもあるため、まずは干潟の保持が大切。

そのような観点から、整備作業をしました。
その後、先日の投稿でもご報告した通り、クイナ、ヒクイナもその場所で見られているので、ヨシを部分的に刈った後でもクイナ類が見られて安堵しています。
また、2号観察小屋右側では、毎年、ジョウビタキやモズが観察されています。
草刈後、すぐにジョウビタキが見られるようになりました。
(直前でもご覧になられている方はいらしたかも知れませんが…)
PA280466
2号観察小屋右側はクズに被覆され、枯死したサクラをむき出しにしました。
腐朽が進み、アリ類が入り込んでいる枯死木なので、アリスイの利用に期待したいです。
写真右下に写っている刈草の集積場には、虫やトカゲ類などの隠れ場所になるので、それを狙って、集積場の上にモズがとまるかも知れません。

なお、ここの衰退したヨシ原は、整備が未完です。
そのため、ヨシ原を健全に更新するため、来年3月あたりに2号観察小屋周辺のヨシ原はやや規模を大きく刈り払えないか検討をしています。
大きく刈り払っても5月、6月あたりには、日光を存分に浴びて育ったヨシがたくさん生えていると思います。
整備をする際は、改めて、告知・ご報告をいたします。

追記
いつもこのコーナーは長文になってしまい、申し訳ございません…。
思う所、お伝えしたい所が色々とありまして…ご容赦ください。

先日、事前告知のとおり、潮入りの池にて、杭を打設しました。
A (1)
作業前 遠景
A (2)
作業後 遠景
A (2)_trim
作業後 近景(画像拡大)
手前30本、奥10本
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2号観察小屋前は10本
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初めにレンジャー側で造園業者さんに「ここに打設をお願いします」とする目印の角材を干潟にさしました。
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その後、造園業者さんがネイチャーセンター横のミニ生態園の斜面から杭を搬入し、干潟に人力で突き刺し、カケヤ(木製ハンマー)で打設していきました。
半日で終わるという作業の手早さ。感服です。

以前は、300本あった杭ですが、今回はまず50本。
今後、様子を見て、また打設することになると思います。
また、造園業者さんが作業する際、潮位が高いと打設が大変なため、今回は、最干潮時でも10cm程度水位がある所まで打設していただきました。
今後、潮の引きが強い春~夏に実施できるようなら、更に範囲を拡大できると見込んでいます。

そして、打設をする際、以下のことに留意しました。

・ネイチャーセンターに近いと警戒して飛んでしまう(=ストレスになる)ため、ある程度、離す
 杭が遠いと観察・撮影がしにくいのですが、鳥との距離は必要となります。
・ネイチャーセンターから対岸の最奥(今回10本打設した所)は、観察・撮影には遠いですが、カワウやサギ類が止まり、標識個体も度々、観察できていたため、少しは杭が必要。
・2号観察小屋前は、やや正面の方が晴れの日に観察・撮影がしやすい。
 左側に設置すると島の観察支障となり、右側に設置すると午前中は逆光で観察しにくい。
・遠くから観察する際、杭が縦に並ぶととまっている鳥が重なり、観察しにくくなる。

※今回の杭は、白木(防腐剤注入なし)に焼きを入れ、表面を炭化させたものをオーダーしました。

2017年頃から腐朽していた杭が次々と消失しはじめ、新たな打設をするか、しないか、打設をするならどうするのか、以前と同じ工法として重機で打設する場合、どこから重機を入れるのか、など検討をしてきました。
その中で、数年前からレンジャーが試行的に人力で打設をし、潮の干満や強風でも抜けないこと、細くてもカワウやサギ類でもとまることを確認しました。
そして、今回、以前より一回り細い杭ですが、人力で打設をし直せました。
カワウ_231027_東京港野鳥公園_恩田幸昌_MG_9425_trim
早速、カワウ、サギ類は使ってくれています。

今後、カワセミ、シギ類、ミサゴなども休息や採食の場として使ってくれること、また、観察される皆様の観察スポットとして役立てることを願っております。
数年経つと杭にフジツボ類、イソギンチャク類などがついて、その付着生物やそこに潜む動物、ひっかかる藻類を食べる野鳥もいるかと思います。

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